コラム

銀歯が肌荒れの原因に?歯科金属アレルギーの原因と改善法

こんにちは。
結城市の歯医者【河野歯科医院】です。

 

「最近、肌荒れがなかなか治らない」「いろいろ試したけど原因が分からない」といったお悩みをお持ちではありませんか。
もしかするとその原因は、「お口の中の銀歯」にあるかもしれません。

 

今回は、歯科金属アレルギーについて、最近の研究結果をふまえながらわかりやすく解説します。
金属アレルギーにお悩みの方、また、歯の審美治療をお考えの方は、ぜひ最後までお読みになり、参考になさっていただけましたら幸いです。

 

【河野歯科医院】院長 河野雅人

河野雅人 院長

1989年 日本大学歯学部 卒業
その後、都内の歯科医院にて勤務
1996年 河野歯科医院 開院

医院名:河野歯科医院
所在地: 〒307-0001
茨城県結城市結城1572

 

 

銀歯が肌荒れの原因になることもあります

銀歯は多くの保険治療で比較的リーズナブルに使用することができ、強度にすぐれた素材でもあるため、これまで多くの患者さんの生活を支えてきました。
しかしながらその一方で、「肌荒れ」「湿疹」「手足の皮膚トラブル」など、お口の中から離れた場所にアレルギー症状が出るケースも報告されています。

 

歯科金属アレルギーとは、詰め物や被せ物などに使用されている金属が体内でアレルゲン(アレルギーの原因)として認識され、免疫反応を引き起こす状態を指します。
特に、保険診療で多く使われてきた「金銀パラジウム合金」が原因となることが多く、アレルギー症状として現れる割合が高いことがわかっています。

 

とはいえ実際には、歯科金属アレルギーと診断された患者さんのうち、お口の中に症状が出た方はわずか2.3%に過ぎません。
つまり、原因が銀歯であったとしても、ほとんどの方はお口の中の症状ではなく、肌荒れや湿疹などの「全身症状」で金属アレルギーに気づくのです。


参照:厚生労働省|資料6-1 歯科金属アレルギーと医科歯科連携 >

 

 

歯科金属アレルギーのメカニズムが明らかに

 

これまで、なぜパラジウムが金属アレルギーの原因になるのか、そのしくみは明確にはわかっていませんでした。
パラジウムは、酸や熱に強く、非常に安定した性質を持つ貴金属であり、過酷なお口の中でも長期間使えることから、歯科治療に広く使用されてきた素材です。

 

ところが2021年、東北大学の研究によって、パラジウムが金属アレルギーを引き起こすメカニズムについての明らかになったことが発表されました。
金属アレルギーは、金属そのものが直接悪さをするのではなく、唾液や汗、食べ物の酸などによって金属からごく微量の金属イオンが溶け出すことが引き金になります。
この金属イオンが、皮膚や粘膜を通して体内に取り込まれると、自分の体の中にあるタンパク質と結びついて「異物」のように認識され、アレルギー反応が起こると考えられています。
特に歯科で使用される金属は、食べかすやお口の中の細菌の代謝物の影響で、イオンが溶け出しやすく、アレルギーのリスクを高める一因になることがあるのです。

 

今回の研究では、パラジウムが免疫細胞の中に一時的に取り込まれると、細胞内の「MHC(主要組織適合抗原)」という免疫に関わる分子の構造が変化し、そこで新たに「異物」とみなされるアレルギー抗原が作られることが明らかになりました。
その抗原がT細胞に「敵」として提示されることで、T細胞が過剰に反応し、アレルギー症状を引き起こす病原性T細胞が活性化されるという具体的な仕組みが解明されたのです。
これまで曖昧だった「なぜパラジウムがアレルギーを起こすのか?」という疑問に対して、科学的な裏付けが得られたことは、大きな前進といえます。

参照:東北大学Press Release「歯科金属アレルギーにおけるアレルギー抗原の発現機構を解明」 >

 

 

銀歯のメリットと注意点

銀歯は、保険診療の範囲内で使用できることから、治療費用を抑えたい方や広く普及している治療を望まれる方にとって、選びやすい選択肢です。
また、強度が高く、特に奥歯など力のかかる部分にも使用できるというメリットがあります。

 

ただし、金属アレルギーのリスクがある方や、見た目が気になる方にとっては、別の選択肢を検討する必要があります。
最近では、保険診療でも白い樹脂などの素材が使えるケースもあり、選択肢は広がっています。

 

 

金属アレルギーの症状が疑われるときは?

「銀歯が原因かもしれない」と思い、すぐにでも銀歯をメタルフリーの素材にかえたい場合は歯科を受診するとよいでしょう。
アレルギーの原因が歯科素材かどうかわからない場合は、まずは内科や皮膚科で診察を受けることが推奨されています。
肌の症状はさまざまな要因で起こるため、皮膚科での標準的な治療を受けた上で、改善がみられない場合に歯科の影響を疑うというステップが大切です。
医科と歯科が連携することで、金属アレルギーによる皮膚トラブルの原因を特定しやすくなり、患者さんにとってもより適切な治療や審美的な改善が可能になることはあります。

 

医科と歯科の連携が大切です

皮膚炎や湿疹には、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎、食物アレルギーなど、ほかの要因が関わっていることもあります。
アレルギー症状があると感じたとき、まずは内科や皮膚科に相談するのもおすすめです。
そのうえで、治療を行っても症状が改善しない場合には、歯科金属が関係しているかもしれません。
歯科では、次のような流れで対応します。

 

歯科での治療ステップ

 

まずはアレルギー検査やカウンセリングを行い、身体の症状とお口の中の金属を使用した修復物との関連性を調べたうえで、治療方針を立てます。
金属アレルギーの治療では、原因となっている金属を特定し、可能な限り体から除去することが重要です。

 

  • ▪金属の種類を確認
  • ▪原因となる金属の除去
  • ▪非金属素材による再修復
  • ▪経過の観察とメンテナンス

 

1.まずは、アレルギー検査(パッチテスト)や問診を通じて、アレルゲンとなっている金属を特定し、必要に応じて修復物の成分分析を行います。
2.アレルゲンと疑われる銀歯などの金属を使用した修復物があれば、体内に切削片が入らないように配慮しながら丁寧に除去します。
3.除去後、一時的に症状が悪化する可能性がある場合がありますので、事前にご説明いたします。
4.その後は、セラミックなどアレルギーを起こしにくい素材を使って再修復を行い、見た目やかみ合わせ、費用面も考慮して適切な素材をご提案します。
5.金属を除去したあとは、症状の改善具合を丁寧に観察し、必要に応じて根管治療なども行います。
6.金属アレルギーの治療はすぐに効果が出るとは限らず、改善までに時間がかかることもあります。
そのため、長期的に経過を見守りながら、慎重に進めていくことが大切です。


参照:J-STAGE|日本顎咬合学会誌|金属アレルギーとメタルフリー p343 3.アレルゲンからの隔離 >

 

 

改善法としての審美治療~銀歯をセラミックへ~

銀歯によるアレルギーの疑いがある場合、原因となる金属を除去し、金属を含まない材料へと置き換えることが有効な対処法です。
こうした治療を「メタルフリー治療」や「審美治療」と呼びます。

 

素材の種類と特徴

アレルギーを引き起こしにくい白い歯科素材には、いくつか種類があります。
代表的な白い歯科素材について、それぞれの特徴と選び方についてご紹介します。

 

  • ▪セラミック:天然の歯のような白さと透明感をもち、見た目がとても自然です。変色しにくく、長期間の使用でも美しさを保ちやすいのが特徴です。
  • ▪ジルコニア:強度が高く、噛む力が強い奥歯にも使用できる優れた素材です。耐久性が高く、アレルギーのリスクも非常に低いとされています。
  • ▪ハイブリッドレジン:セラミックとレジンの特性を兼ね備えた、コストを抑えやすい素材です。審美性や強度はセラミックよりもやや劣りますが、保険適用外の中では比較的手ごろです。

 

アレルギーが疑われる患者さんは、まずパッチテストなどのアレルギー検査を受け、必要に応じて審美治療を検討するとよいでしょう。

 

 

審美治療をおすすめしたい方

銀歯によるアレルギーの不安がある方だけでなく、見た目や将来の健康を考える方にも、審美治療はおすすめです。
次のような方は、銀歯を白いセラミックの歯にかえる審美治療を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

審美治療がおすすめの方の特徴

これらに心当たりがある方は、早めのご相談をおすすめします。

 

  • ▪肌荒れや湿疹が治りにくい
  • ▪銀歯が多く入っている
  • ▪歯の見た目が気になる
  • ▪金属アレルギーの診断歴がある

 

皮膚科での治療でも金属アレルギーの改善が見られない場合、お口の中の詰め物や被せ物に使用されている金属が原因となっていることがあります。
特に、長年にわたり使用している保険診療の金属を使用した修復物は、経年劣化によってアレルギーの引き金になることがあります。
また、見た目を白く自然にしたい方には、審美治療による素材の置き換えで、笑顔の印象をより明るくできます。
すでにほかの部位で金属アレルギーを経験している方は、お口の中の金属にも注意が必要です。

 

 

お口の中の金属が肌の悩みに関係あるかも……と気になる方はご相談を

繰り返す肌荒れや湿疹が、じつはお口の中の銀歯と関係しているかもしれません。
歯科金属アレルギーは、症状が肌や全身に現れることが多いため、見落とされやすい傾向にあります。
内科や皮膚科での治療と並行しながら、歯科でも金属の状態を確認し、必要に応じて審美治療を行うことで、症状が改善するケースもあります。

 

結城市の歯医者【河野歯科医院】では、患者さんお一人お一人のお悩みに寄り添い、丁寧なカウンセリングとわかりやすいご説明を心がけています。
銀歯の見た目やアレルギーが気になる方は、白い歯にかえる際の治療費用に関しても明確にご説明させていただきますので、気になることがございましたら、どのようなことでもお気軽にご質問ください。


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