予防歯科は健康や医療費にどう関係する?定期検診のメリット

「歯が痛くないのに、歯科医院へ行く必要はあるの?」「定期検診を受けると、どのようなメリットがあるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
歯科医院は、痛くなった歯を治療するだけではなく、むし歯や歯周病を予防し、今ある歯をなるべく長く保つために通う場所でもあります。
お口の健康を保つことは、しっかり噛んで食事を楽しみ、身体の健康を支えることにもつながるのです。
今回は、予防歯科で行う定期検診やクリーニングの内容や、歯周病と全身の健康との関係、さらに医療費との関係について、調査結果を紹介しながらわかりやすく解説します。
お口と身体の健康を保ちながら、将来も食事や会話を楽しみたい方は、ぜひ最後までお読みになり、参考になさっていただけましたら幸いです。

河野雅人 院長
1989年 日本大学歯学部 卒業その後、都内の歯科医院にて勤務
1996年 河野歯科医院 開院
医院名:河野歯科医院
所在地: 〒307-0001
茨城県結城市結城1572
Contents
予防歯科の「お口の健康を守り、将来の医療費を抑える」可能性

予防歯科のメリットは、むし歯や歯周病を防ぎやすくなることだけではありません。
定期検診によって小さな違和感に早く気づくことができれば、大がかりな治療を避け、歯を残せる可能性が高まることがあります。
歯科医院で年2回以上、歯石除去などの目的で定期的に通っている方は、通っていない方と比べて、医科と歯科を合わせた医療費が低い傾向があったという調査報告もあります。
65歳では、年間15万円以上の差が見られたということです。
ただし、定期検診を受ければ、必ず医療費が下がるという意味ではありません。
それでも、むし歯や歯周病を早く見つけ、必要なケアを受けながら歯を保つことは、将来の治療の負担を抑える上で大切です。
歯医者に定期的に通い、予防歯科の取り組みを行うことは、目の前の歯だけでなく、これからの健康や生活を考えた習慣の一つといえるでしょう。
では、なぜ歯を守ることが、身体の健康にも関係するのでしょうか。
歯周病は全身の健康にも関係します
歯周病は歯ぐきの病気ですが、その影響がお口の中だけにとどまるとは限りません。
歯周病が進むと、歯周病菌や炎症に関係する物質が歯ぐきの血管から入り込み、血液とともに全身へ運ばれることがあります。
また、お口の細菌が唾液とともに気管へ入り、肺に届くこともあるのです。
歯ぐきで起きた炎症が、身体のさまざまな部分とどのように関係しているのか、イラストと表で見てみましょう。

| 脳 | 脳梗塞、アルツハイマー型認知症 |
|---|---|
| 心臓 | 狭心症、心筋梗塞 |
| 肺 | 誤嚥性肺炎 |
| 血管 | 動脈硬化 |
| すい臓 | 糖尿病 |
| おなか | 肥満 |
| 子宮 | 低出生体重児の出産、早産 |
| 骨 | 骨粗しょう症 |
この中でも、歯周病との関係が詳しくわかっている病気の一つが「糖尿病」です。
歯周病と糖尿病は、どちらか一方が悪化すると、もう一方にも影響することがあります。
糖尿病と歯周病はお互いに影響し合う

糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと、身体を感染から守る働きが低下し、歯周病が進みやすくなります。
一方、歯周病による炎症は、血糖値を下げるインスリンの働きを妨げます。その結果、血糖値をうまくコントロールしにくくなることがあるのです。
歯周病を治療して歯ぐきの炎症を抑えることで、血糖値の改善につながる場合もあります。
糖尿病のある方にとって、歯周病の予防や治療は、お口と身体の両方を健康に保つために大切です。
歯周病菌が心臓や血管に影響することも

血液とともに運ばれた歯周病菌や炎症に関係する物質は、血管の壁に炎症を起こし、「動脈硬化」に関係すると考えられています。
動脈硬化によって血液の通り道が狭くなると、「狭心症」や「心筋梗塞」、「脳梗塞」を発症するリスクが高まります。
毎日の歯磨きや歯科医院でのクリーニングで歯周病菌を減らし、歯ぐきの炎症を抑えることは、全身の健康を考える上でも非常に意味があることです。
お口の細菌が誤嚥性肺炎の原因に

誤嚥(ごえん)とは、食べものや唾液が食道ではなく、誤って気管に入ることです。
お口の細菌を多く含んだ唾液が肺に入ると、細菌が増えて炎症を起こし、「誤嚥性肺炎」につながることがあります。
特に、加齢などにより飲み込む力が低下している場合は、気づかないうちに唾液が気管へ入ることもめずらしくありません。
毎日の歯磨きと歯科医院でのクリーニングによってお口の細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防にも役立ちます。
妊娠や骨、脳との関係も

妊娠中に歯周病による炎症が続くと、炎症に関係する物質が全身へ運ばれ、「低出生体重児の出産」や「早産」のリスクに関係することがあります。
「骨粗しょう症」によって骨密度が低下すると、歯を支える顎の骨にも影響が及び、歯周病が進みやすくなる場合があります。
また、「肥満」と歯周病は、どちらも身体の慢性的な炎症に関係しており、互いに影響することがわかってきました。
「脳梗塞」や「アルツハイマー型認知症」についても、歯周病菌や歯周病による炎症との関係が研究・報告されています。
参照:九州大学|歯周病菌感染は全身の脳老人斑成分を脳内輸入させる>
歯周病の予防や治療は、歯を残すためだけに行うものではなく、全身の健康維持においても重要です。
定期検診で歯ぐきの状態を確認し、必要な治療やクリーニングを受けることで、これからの身体の健康を守ることにつなげていきましょう。
定期検診のメリット~今ある歯を守るために~
予防歯科では、歯科医師や歯科衛生士がお口の状態を確認し、患者さんお一人お一人に合ったケアをご提案します。
メリットとして最初に知っていただきたいのは、「お口の病気の早期発見・早期治療」につなげられることです。
1.むし歯や歯周病の早期発見につながる

定期検診では、歯の表面だけでなく、
・歯と歯の間
・詰め物や被せ物の周り
・歯ぐきの状態
お口のトラブルが起こりやすい、こういった部分も確認します。
必要に応じてレントゲン撮影や歯周ポケットの検査を行い、見た目だけではわかりにくい異変がないかも調べます。
普段からお口の状態を把握している「かかりつけ歯科医院」があると、気になることがあったときにも相談しやすいのもメリットの一つです。
定期検診では、検査とともに、毎日の歯磨きでは落としきれない汚れを取り除くクリーニングも大切です。
2.磨き残した汚れや歯垢・歯石を取り除ける

歯垢(プラーク)は、歯の表面に付着する細菌のかたまりです。
やわらかい状態であれば歯磨きで落とせますが、時間がたって硬くなった歯石は、歯ブラシでは取り除けません。
歯垢1mgには10億個を超える細菌が潜んでいるといわれており、歯周病の予防・改善には、毎日の歯磨きで歯垢を丁寧に落とすことが非常に重要です。
参照:厚生労働省|健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~|プラーク / 歯垢(ぷらーく) >
また、歯石の表面には細かい穴があいていて、歯垢が付着しやすい特徴があります。つまり歯石がたまるほど、歯周病などのリスクが高い状態になるのです。
定期的に「歯石取り」を行うことで、歯ぐきに炎症が起こる原因を取り除きましょう。
歯科医院では、専用の器具を使って歯石や磨き残した汚れを丁寧に除去します。
お口や全身の健康維持につながることはもちろん、歯の表面がなめらかになり、すっきりした感覚を得られることや、口臭予防ができることも、クリーニングのうれしい点です。
歯科医院でお口をきれいにした後は、ご自宅でその状態を保てるようにしていきましょう。
3.自分に合った歯磨きの方法がわかる

お一人お一人のお顔が異なるように、お口の中の様子も異なりますから、汚れが残りやすい部分も違ってきます。
歯並びや歯ブラシの動かし方によっても、磨き残しやすいところに偏りが出てきます。
そこで、定期検診では、磨き残しがある部分を染め出しなどで目で見てわかる状態にし、歯ブラシの当て方や動かし方をわかりやすくお伝えします。
歯間ブラシやデンタルフロスなどの清掃補助アイテムも、お一人お一人のお口に合ったものを選ぶことで、毎日の歯磨きを効果的に行いやすくなり、毎日の歯磨きのクオリティが高まるでしょう。
予防歯科が役立つのは、すでにお口の悩みがある方だけではなく、これからの予防をしたいすべての方なのです。
症状がなくても定期検診を受けることが大切です

「歯磨きのときに血が付く」「歯ぐきが少し下がった気がする」といった変化は、歯周病のサインである場合があります。
その一方で、目立った変化がなくても歯周病が進んでいることはめずらしくありません。
歯周病は、歯ぐきの腫れや出血から始まり、進行すると歯を支える顎の骨が減っていく病気です。
初期には痛みがほとんどなく、ご自身では気づきにくいという特徴があります。
厚生労働省が2024(令和6)年に行った歯科疾患実態調査では、4mm以上の歯周ポケットがある方は全体の47.8%と、約半数にものぼりました。
参照:厚生労働省|令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要 p22 表19 >
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの境目にある溝です。4mm以上の深さがある場合は、歯周病が進んでいる可能性を示す目安の一つになります。
歯周ポケットの深い部分には歯ブラシの毛先が届きにくく、歯垢や歯石がたまりやすいため、歯科医院で状態を確認することが大切です。
噛めるお口は毎日の健康を支える~健康な歯を保つために定期検診を~

「おいしく食べ、楽しく会話をする」そんな毎日をこれからも続けるためには、歯と歯ぐきの健康を保つことが大切です。
定期検診では、むし歯や歯周病の有無を調べ、ご自身では落としきれない歯石や汚れをクリーニングで取り除きます。
小さな違和感を早めに見つけることで、大がかりな治療を避け、通院や治療にかかる負担を抑えられる可能性があるのです。
定期的に歯科医院へ通っている方は、医療費が低い傾向にあるという報告もあります。
「痛いところはないけれど、お口をすっきりさせたい」「今の歯を長く保ちたい」という方も、ぜひ気軽にご相談ください。
定期検診やクリーニングで、いつまでも健康なお口で食事や会話を楽しむお手伝いをいたします。


