最近、入れ歯が外れやすい……そのまま使い続けても大丈夫?

「食事をしていると入れ歯が動くようになった」
「話している途中で外れそうになり、会話に集中できない」
「以前は気にならなかったのに、最近は入れ歯が当たって痛い」
このようなお悩みはありませんか。
入れ歯は、お口に合わせて製作した後も、歯ぐきや残っている歯の状態に応じて調整しながら使用するものです。
長く使っているうちに入れ歯が外れるようになっても、「古くなったから仕方がない」とあきらめる必要はありません。
今回は、入れ歯が合わないと感じる原因や、そのまま使い続けた場合に起こり得ること、調整や作り替えを検討する目安について解説します。
自由診療の入れ歯についてもご紹介しますので、今の入れ歯をより使いやすくしたい方は、ぜひ参考になさってください。

河野雅人 院長
1989年 日本大学歯学部 卒業その後、都内の歯科医院にて勤務
1996年 河野歯科医院 開院
医院名:河野歯科医院
所在地: 〒307-0001
茨城県結城市結城1572
Contents
入れ歯が外れやすくなったときは歯科で確認することが大切です
「最近になって入れ歯が外れやすくなった」という場合は、入れ歯とお口の状態が少しずつ合わなくなっている可能性があります。
入れ歯が合わなくなると、次のような症状がみられることがあります。
✔食事中や会話中に入れ歯が外れる
✔噛むと入れ歯がズレたり浮いたりする
✔食べ物が入れ歯の下に入り込む
✔入れ歯が歯ぐきに当たって痛い
ただし、このような症状があっても、必ずしも入れ歯を作りかえる必要があるとは限りません。
お口と入れ歯の状態を確認した上で、次のような方法を検討します。
・入れ歯の内側やかみ合わせ、留め具などを調整し、今の入れ歯を引き続き使用する
・入れ歯が大きく変形している場合や、お口の状態が以前とは大きく変わっている場合は、新しい入れ歯に作りかえる
原因によって必要な処置が異なるため、痛みやズレを我慢せず、まずは入れ歯とお口の状態を確認してもらうことが大切です。
お口に合った入れ歯は健康維持にもつながります

入れ歯は、失った歯の見た目を補うだけのものではありません。
食事や会話を楽しみ、毎日をすこやかに過ごすためにも大切な役割を担っています。
お口に合った入れ歯を使用すると、左右でバランスよく噛めるようになり、さまざまな食べものを楽しみやすくなります。
奥歯のかみ合わせが安定することで、食べものを細かく噛み、飲み込みやすい状態にすることにもつながるでしょう。
近年では、入れ歯の状態とシニア世代の健康との関係も調べられています。
大阪府の後期高齢者18万6,893人を追跡した研究では、奥歯のかみ合わせが悪化するほど死亡リスクが高くなる傾向がみられました。
また、状態の悪い入れ歯を使用している方や入れ歯を使用していない方は、奥歯のかみ合わせがよい方と比べて、死亡リスクが最大1.8倍高いという結果が示されています。
この結果だけで入れ歯が寿命を延ばすと断定できるわけではありませんが、失った歯を補い、入れ歯をよい状態に保つことが、健康維持に関係する可能性があると考えられます。
参照:大阪大学の研究専用ポータルサイト|良い入れ歯使用者は死亡リスクが低い >
入れ歯が外れやすくなるのは、なぜ?

では、入れ歯が外れやすくなるのは、なぜでしょうか?
入れ歯は、製作した当初はお口に合っていても、年月が経つにつれて少しずつ合わなくなることがあります。
歯ぐきや残っている歯、かみ合わせの状態が変わるだけでなく、入れ歯にもすり減りや変形が生じるためです。
そのため、作ったときは合っていた入れ歯でも、知らないうちにお口との間に小さなズレが生じることがあります。
ここからは、「入れ歯が外れる、合わない、痛い」と感じるようになるおもな原因を見ていきましょう。
1.歯ぐきや顎の骨の形が変わった
歯を失った部分では、歯ぐきやその下にある顎の骨の形が少しずつ変化します。
入れ歯そのものの形が変わっていなくても、入れ歯を支える側のお口が変化すると、内側にすき間ができやすくなるのです。
特に総入れ歯は、歯ぐきや顎の形に沿わせることで安定させているため、小さな変化でもズレや浮き上がりにつながることがあります。
体重の増減や持病、服用している薬、唾液の量なども、入れ歯の使用感に関係する場合があります。
2.残っている歯の状態が変化した
部分入れ歯は、残っている歯に「留め具」をかけて固定します。
留め具をかけている歯が動いたり、歯ぐきが下がったりすると、入れ歯を支える力のバランスが変わります。
むし歯や歯周病によって歯の形や位置が変わり、以前より入れ歯が外れやすくなることもあるでしょう。
入れ歯だけを調整すれば使いやすくなるとは限らないため、残っている歯や歯ぐきの状態も一緒に確認する必要があります。
3.人工歯や留め具がすり減った
毎日の食事で使う入れ歯には、少しずつ力がかかります。
長く使っていると人工歯がすり減り、かみ合わせの高さや噛む位置が変わることがあるのです。
部分入れ歯では、留め具がゆるんだり変形したりすることで、歯にかかりにくくなる場合もあります。
入れ歯のひびや欠け、変形が原因となっていることもあるため、見た目が大きく変わっていないと感じても詳しく調べたほうがよいでしょう。
4.かみ合わせのバランスが変わった
入れ歯は、上下の歯がバランスよく噛み合うことで安定します。
一部だけが強く当たっていると、噛んだときに入れ歯が傾いたり、反対側が浮き上がったりすることがあります。
やわらかいものでは気にならなくても、肉や野菜などを噛んだときだけ外れやすい場合は、かみ合わせが関係しているかもしれません。
どのような食べものを噛んだときに動くのかを歯科医師に伝えると、原因を調べる手がかりになります。
合わない入れ歯を使い続けるとお口に負担がかかります

入れ歯が少し動く程度であれば、「まだ使えるから」と受診を先延ばしにしてしまう方もいらっしゃるでしょう。
しかし、合わない入れ歯を使い続けると、入れ歯を支えている歯ぐきや残っている歯に負担が偏ることがあります。
入れ歯が当たる部分に痛みが出たり、歯ぐきに傷ができたりすることも少なくありません。
痛む場所を避けて片側ばかりで噛んでいると、かみ合わせのバランスが変わり、ほかの歯にも負担がかかりやすくなります。
また、噛みにくさから食べられるものが限られると、食事を楽しみにくくなることもあるでしょう。
外れやすさが気になって、人との会話や外食を控えたくなる方もいらっしゃいます。
入れ歯の不具合は、我慢して慣れるものとは限りません。
痛みが強くなる前に調整することで、今の入れ歯を使いやすい状態に戻せる可能性があります。
入れ歯の調整や作りかえを考える目安は?

入れ歯を作りかえる時期は、使用年数だけで一律に決まるものではありません。
同じ入れ歯を長く使用できる方もいれば、歯ぐきや残っている歯の状態によって、早めの調整や作りかえが必要になる方もいらっしゃいます。
次のような症状や入れ歯の不具合がある場合は、入れ歯を持参して歯科を受診しましょう。
✔食事中や会話中に入れ歯が外れる
✔噛むと入れ歯がズレたり浮いたりする
✔入れ歯が当たって歯ぐきが痛い
✔歯ぐきに赤みや傷がみられる
✔入れ歯の下に食べものが入りやすい
✔留め具がゆるくなった
✔入れ歯安定剤を使う回数や量が増えた
✔人工歯がすり減ったり、入れ歯にひびが入ったりしている
これらのうち一つでも当てはまるときは、まず入れ歯の内側やかみ合わせ、留め具などを確認します。
お口の状態も調べた上で、調整して使い続けられるのか、作りかえた方がよいのかを判断します。
調整によって使いやすくなる場合
入れ歯とお口の状態に大きなズレがなければ、次のような調整によって使いやすくなる場合があります。
・入れ歯が歯ぐきに強く当たる部分を削る
・入れ歯の内側に材料を足し、歯ぐきとのすき間を埋める
・部分入れ歯のゆるくなった留め具を調整する
・噛む力が均等に伝わるように、かみ合わせを整える
ご自身で入れ歯を削ったり、留め具を曲げたりすると、入れ歯の形が崩れて修理が難しくなることがあります。
痛む場所があっても、ご自身で入れ歯を削ったり留め具を曲げたりせず、そのまま歯科へお持ちください。
作りかえが適している場合
入れ歯やお口に次のような状態がみられる場合は、新しい入れ歯への作りかえを検討します。
・お口の中の状態が変わり、入れ歯との間にすき間ができている
・何度か調整したものの、外れやすさや痛みが続いている
・人工歯のすり減りが進んでいる
・入れ歯の土台が変形したり、ひびが入ったりしている
作りかえる際は、現在の入れ歯で困っていることを詳しく伝えることが大切です。
食事中に動く、発音しにくい、見た目が気になるなど、日常生活で感じていることを具体的に伝えると、新しい入れ歯の形や素材を検討しやすくなります。
自由診療の入れ歯も選択肢の一つです

入れ歯には「保険診療」のものと「自由診療」のものがあり、使用できる素材や設計の範囲が異なります。
保険診療の入れ歯も、お口に合わせて製作し、定期的に調整することで長く使用できる可能性があります。
一方、自由診療の入れ歯は、選べる素材や設計の範囲が広がるため、次のような希望をお持ちの方に適しているのが特徴です。
・【見た目】金属の留め具が目立ちにくい入れ歯を選びたい
・【装着感】入れ歯を装着したときの違和感を抑えたい
・【噛み心地】噛む力が伝わりやすい入れ歯を選びたい
・【素材】やわらかさや丈夫さ、修理のしやすさを比べて選びたい
自由診療の入れ歯にはさまざまな素材があり、お口の状態や残っている歯の位置によって、適したものが異なります。
素材ごとの特徴や修理のしやすさ、費用について説明を受けた上で、ご自身に合うものを選びましょう。
定期的に状態を確認し、お口に合わせて調整を受けることで、入れ歯をよい状態に保ちやすくなります。
関連コラム:目立ちにくい入れ歯「ノンクラスプデンチャー」保険の入れ歯との違いは?
入れ歯が外れる・合わない・痛いと感じたらご相談ください

入れ歯にわずかな違和感があるだけでも、食事や会話のたびに気になるものです。
「今の入れ歯をできるだけ活かしたい」「見た目や装着感にも配慮した入れ歯に作りかえたい」など、ご希望をうかがい、お口の状態に合う方法をご提案します。
受診の際は、調整できるかどうかを確認しますので、他院で製作したものも含め、現在お使いの入れ歯をお持ちください。
入れ歯を使う時間がより快適になるよう、お一人お一人に合う方法を一緒に考えてまいります。


