コラム

歯周病と全身疾患の関係とは?クリーニングでお口の健康を整えるメリット

 
「最近、なんとなく体が重い」と感じることはありませんか?
「健康診断の結果を見て、生活習慣を見直そうかな」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
 
じつは、そんな身体の健康とお口の状態には、私たちが想像する以上に深い関係があることがわかってきました。
 
中でも「歯周病」は、単にお口の中だけで完結する病気ではありません。
近年の研究では、糖尿病をはじめとするさまざまな全身疾患のリスクを高めることが明らかになっています。
 
ここでは、お口と全身の健康の意外なつながりと、なぜ定期的なお口のクリーニングが健康維持に役立つのか、その理由を解説します。

 

【河野歯科医院】院長 河野雅人

河野雅人 院長

1989年 日本大学歯学部 卒業
その後、都内の歯科医院にて勤務
1996年 河野歯科医院 開院

医院名:河野歯科医院
所在地: 〒307-0001
茨城県結城市結城1572

 

 

歯周病が全身疾患に与える影響とは?|細菌コントロールが健康を守るカギ

歯周病がなぜ全身の病気と関わるのでしょうか。
その答えは、一因として、「お口の細菌や炎症に関わる物質が血流を介して全身に影響し、炎症反応に関与する可能性がある」と考えられているからです。
 
歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨が炎症を起こす病気です。
初期のうちは痛みなどの目立った症状が少なく、自分ではなかなか気づきにくいことから「静かなる病気=silent disease(サイレントディジーズ)」とも呼ばれています。
成人の多くが何らかの形で抱えているといわれるほど身近な病気ですが、そのまま様子を見ていると全身にまで悪い影響が広がってしまうことがあります。

 

歯周病の進行していく流れとは?

まずは、歯周病がどのようにお口の中で進行していくのかをみていきましょう。

最初は歯垢(プラーク)や歯石の付着から始まり、そのままにしていると、歯ぐきの炎症や歯周ポケットの深化が進み、重症化した場合には歯を支える骨(歯槽骨)に影響が及んで歯を失うこともあります。
 
お口の中の炎症をそのままにしておくことは、健康リスクを高めることにつながるのです。

 

歯周病菌が血液に乗って全身へ

歯周病が進行すると、歯ぐきの腫れや出血が見られるようになります。
この炎症を起こしている場所からは、歯周病菌や、菌が出す毒性物質が血管の中へ侵入しやすくなるのです。
 
血液に乗って全身へと運ばれたこれらの細菌や炎症物質は、状態によっては身体の各部位で炎症や疾患リスクに関与することがあります。
 

全身 に及ぼすおもな影響については以下の表をご覧ください。

関連する部位関連する疾患どう関わっているのか
脳梗塞、アルツハイマー型認知症歯周病菌が侵入し、炎症を引き起こすことで病状に関与する可能性があります。
心臓狭心症、心筋梗塞歯周病菌が血液を通じて心臓の血管に達し、炎症を起こすことで血管を狭くしてしまうことがあります。
血管動脈硬化歯周病による炎症物質が血管内皮を傷つけ、血管が硬く厚くなる動脈硬化を促進する可能性があります。
誤嚥(ごえん)性肺炎お口の中の細菌が唾液とともに誤って肺へ入り込み、炎症を起こすことで肺炎のリスクを高めます。
すい臓糖尿病歯周病の炎症性物質がインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを悪化させる一因となることがあります。
おなか肥満歯周病の炎症によって体内でホルモンの働きが乱れ、エネルギーをうまく消費しにくくなるため、太りやすい状態を招くリスクがあります。
子宮低出生体重児の出産、早産炎症性物質が血液を介して子宮に作用し、早産や胎児の成長に影響を及ぼす可能性があります。
骨粗しょう症お口の炎症が全身の骨の代謝に影響を与え、骨密度が低下しやすくなることが報告されています。

 

 

歯周病と糖尿病は「お互いに影響し合う」関係

特に、歯周病と糖尿病の深い関係については、医学的にも多くの報告がなされています。
この二つは、片方がもう片方を悪化させてしまうという、非常に困った関係にあることがわかっています。

 


参照:厚生労働省|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~|口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連

 

 

血糖値と歯周病の悪循環

血糖値が高い状態が続くと、感染や炎症が起こりやすくなり、歯ぐきの炎症が治りにくくなることがあります。その結果、歯周病が進行しやすくなる可能性があるのです。
 
一方で、歯周病が進行すると、炎症から出る物質がインスリンという血糖値を下げるホルモンの働きを邪魔してしまい、血糖コントロールをさらに悪くしてしまいます。
 
そのため、糖尿病を治療する診療ガイドラインなどでは、血糖値を安定させるために歯周治療が強く推奨されています。
実際に、歯周治療を行うことで、血糖コントロールの指標となる「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の数値に改善が見られたという報告も数多くあるのです。
 
歯周病をしっかり治療することは、お口の健康を取り戻すだけでなく、糖尿病のコントロールにも役立つ大切な手段といえるでしょう。

 

生活習慣と歯周病のコモンリスクファクター(共通する危険因子)

歯周病やむし歯を予防することは、全身の健康を守ることにもつながります。
医学の世界では、全身の病気とお口の病気には共通の原因があると考えられており、これを「コモンリスクファクター(共通する危険因子)」と呼んでいます。

たとえば、食生活の乱れや喫煙といった生活習慣は、お口の中の健康を損なうだけでなく、糖尿病や心疾患などの生活習慣病を招く共通の引き金となります。
つまり、お口のケアを丁寧に行うことは、全身の病気のリスクを減らすことにも直結する大切な習慣なのです。

 

 

細菌の数を減らすプラークコントロールが重要

「全身の健康のために、自分では何ができるのか?」と考えるとき、まずは「お口の中の細菌を増やさないこと」を心がけてみてください。
 
歯周病の治療や予防で一番大切なのは、原因となる「プラーク(歯垢=細菌のかたまり)」や、それが硬くなった「歯石」をしっかり取り除くことです。

 

日々の歯磨きと、プロのクリーニングを組み合わせる

もちろん、毎日ご自身で行う歯磨きは不可欠です。
しかし、歯ブラシだけで完璧に汚れを落とすのは、難しい場合が多いでしょう。
 
特に、「歯と歯の間」や、「歯と歯ぐきの境目」は汚れが残りやすい場所ですので、デンタルフロスや歯間ブラシをうまく組み合わせて使うことが、健康を守る大きなポイントです。
 
そして、毎日のセルフケアに加えて、歯科医院で行う「クリーニング」を習慣にすることが、健康を維持するカギとなります。
すでに硬くなった歯石などは、ご自宅のケアでは取り除きにくいため、歯科医院での専門的な処置が必要になることがあります。

 

定期的なクリーニングで期待できること

予防のプロフェッショナルである歯科衛生士による専門的なケアには、こんなメリットがあります。

メリット内容
細菌を除去できる歯ブラシでは落とせない歯石や汚れをすっきり取り除く
自分に合ったケア方法がわかる今の歯の状態に合わせて磨きにくい場所を丁寧に磨く練習ができる
早期発見・早期治療が可能になるプロの目で早期発見・早期治療ができるので大きなトラブルを防げる
お口の健康だけでなく全身疾患の予防につながる定期的なチェックで細菌数を安定させることで、結果として全身の健康維持にも配慮できる

定期検診は、お口をきれいに掃除するだけの機会ではなく、お口の状態をよく知るプロのスタッフと一緒に、「これからもずっと健康でいるための作戦を立てる場所」だと思ってください。

 

 

いつまでも健康な毎日を守るために

特にシニア世代の方は、歯周病などで歯を失ってしまうと、よく噛める機能が低下することで食事が楽しめなくなり、栄養不足につながってしまうことがあります。
 
生涯を通じて食事をおいしく楽しみ、すこやかに過ごすためには、いつまでも自分の歯で噛める環境を整えておくことが欠かせません。

 

栄養と噛む力の関係

噛む力が低下し、食事の形態が偏ってしまうと、身体に必要な栄養素を十分に摂ることが難しくなります。
低栄養は、筋肉量の減少や身体機能の低下を招き、要介護となるリスクを高める原因の一つです。
むし歯や歯周病の適切な治療はもちろん、入れ歯を調整することや、お口の機能を維持するための口腔機能検査や、口腔機能の低下を防ぐためのトレーニングも、噛む力の維持に役立ちます。
 
健康寿命について考える際も、噛む力の維持は大切です。
定期的な通院でお口の状態を整えることは、食事のとりやすさや栄養面の支えとなり、健康的な生活の維持に役立つのです。

 

問題がないときこそ、予防と早期発見が大切

歯周病は、一度進行してしまうと元に戻すのが難しい病気です。
だからこそ、「どこか痛くなってから」ではなく、「特に問題がないときから」継続して予防ケアを続けることが大切です。
 
現在、特に気になる症状がない方も、ぜひ一度、お口の状態のチェックにお越しください。
お口の中をきれいに整えることは、糖尿病などの生活習慣病を予防し、これからの毎日を守るための、とても有効な選択になります。
私たちが、お一人お一人の健康を支えるパートナーとして、丁寧なケアでしっかりとサポートいたします。
日々の歯磨きを大切にしながら、歯科医院でのメンテナンスを習慣にして、一緒にすこやかな毎日をめざしていきましょう。
 
もし、ご自身で「最近歯ぐきから血が出る」といったことがあれば、それはお身体からの大切なサインかもしれません。そのまま様子を見るよりも、早めにご相談ください。
私たちは、患者さんが一生ご自分の歯でおいしく食事ができ、毎日を笑顔で過ごせるよう、お手伝いさせていただきます。

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